ことの始まり

大正7年から8年ごろ、薬学の大家牧野民蔵・千代蔵の両先生が、ヨウ素(ヨード)が人体構成上、発達・成長を促す甲状腺ホルモンを構成する上で、絶対必要な成分であることに着眼し、「ヨウ素」の薬効と製造について研究の結果、薬効の解明と製造に成功したのが、この「ヨウ素」剤の始まりです。
「ヨウ素」には血中のコレステロールを減少させ、血液を浄化し、血管を強化する働きがあることがわかりました。
その上、「ヨウ素」は体内の病的組織(毒素)と結合して、これを破壊、吸引して体外に排出する働きがあることも分かりました。
「ヨウ素」が以上の諸効果を持っていることから、その服用効果は、高血圧症・血管硬化症に始まり、結核・梅毒・白血病・放射線障害・潰瘍(胃・十二指腸)等でした。

難問にぶつかる

当初、牧野両先生は、大量のワカメ・コンブを焼却し、その灰から「ヨウ素」を分離抽出していましたが、少量の「ヨウ素」しか生産されず、とても採算ベースになりませんでした。
しかし、当時としては、この方法以外「ヨウ素」を採取することは不可能でした。
その後、ヨウ素が日本の沿岸地域の一部に限り、地中から天然ガスと一緒に地下のパイプを通して地上に湧き出る時、パイプに付着するスケールに含有されていることが分かり、それから分離抽出することができましたが、分離抽出された成分は、無機質ヨウ素です。
無機質ヨウ素は、消毒薬・止血薬・うがい薬等にごく微量に使用されていますが、劇薬で服用することはできません。

いよいよ始まる挑戦

これを有機質(飲める)ヨウ素に変換する研究に取り掛かりました。
日本の薬化学界はもちろん、世界中の医学・薬理学会では、無機質ヨウ素を有機質ヨウ素に換えることは、現在でも不可能と言われています。
服用可能な有機「ヨウ素」に転換させる難問題と取り組み、辛苦の結果、ついに完成したのが、この服用「ヨウ素」配合剤と注射液です。
当時は、東洋医薬としては最高の権威薬で、他に類のない異色傑出した高貴薬として、賞賛され、名称も「マキフチース」と称し、各界の話題を独占しました。
大正10年のことです。

完成はしたものの…

大正12年、肺結核症・腸結核症・脳神経衰弱症・胃腸カタル症・貧血症等の効能薬品として、内務省(厚生省の前身)から製造許可され発売しました。
特に結核には抜群の効果を発揮しましたが、販売価格が約50グラム(現在頒布のカプセルで約166錠)が20円、当時の大学卒の初任給が8~20円くらいの時ですから、一般の人にはとても手が届かない、高嶺の華でした。
しかし、当時、不治の病と言われていた結核患者でこの薬を服用して治らなかった患者はなく、どれほど多くの人が助かったか数知れません。
その時の余談ですが、本剤が精力がつく強壮剤と宣伝され、阪神の高級住宅地の帝塚山・寝屋川あたりの富裕層から精力強壮剤としてもてはやされ、ひそかに服用されました。

国内外からの注目

昭和3年中華民国、蒋介石総統の依頼により、モンゴル・チベット方面のライ病患者、中国本土の麻薬患者の治療に、3年間提供し、効果を発揮しました。
昭和初期、牧野先生は東京麻布に「マキノ診療所」を開設、「マキフチース」「ヨウ素注射液」を用いて、結核・日本脳炎・ガンなどの治療を開始しました。
マキノ診療所は1日50人限定の患者しか診察しなかったので、9時からの診察に早朝4時から並んだと言われています。
当時、結核・ガンの特効薬などのない時代ですから無理もありません。
昭和25年には、広島原爆症患者救済のため、1年間、ある篤志家の寄付金により寄贈し、大いに喜ばれました。
「ヨウ素」が放射線被爆患者に優れた働きがあるからです。

大きな変転

その後、牧野両先生の相次ぐ死去により、製造を一時中断していましたが、たまたま、製造方法を伝授されていた関係者が、少量を製造し、一部需要者に頒布していました。
しかし、「ヨウ素」の優れた薬効に注目していた多くの人々が相集い、昭和28年、家内工業的製造方法から脱却するため、後援者が集まって資金を募り、「大阪ヨード製薬株式会社」を設立し、一般用医薬品として再許可を受け、製造販売を開始しました。
この時の薬効許可種目は、胃腸病・心臓病・腎臓病・腹膜・黄疸・喘息・神経痛・脳溢血・子宮内膜炎・結核性疾患等でした。
たまたま、昭和39年、東大(旧制東京帝国大学)OB会の人達の中に、ガンをはじめ難病が治った実例が多く出て、その中の1人、長岡鉄吉氏(物理学者 長岡半太郎氏の子息)と、前記東大OB会の著名な先生方の要望で、昭和42年、大阪ヨード製薬株式会社を小田原に移転し、社名を「株式会社マキス本舗」に変更、継続して製造しました。
同年(昭和42年)、薬事法の改正があり、本薬の薬効許可範囲を高血圧・動脈硬化・強壮の3種に変更させられました。

終わりそうな運命を引き継ぐのは…

その後、かねてから「ヨウ素」の優れた薬効に注目、研究を続け、この「ヨウ素」の臨床医学に協力していた、聖マリアンナ医科大学名誉教授飯島登博士は、「ヨウ素剤」を十数年間研究し、難治患者に投与し、顕著な効果を発揮した事例を数多く経験しました。
中でも特に、高血圧・動脈硬化・白血病・潰瘍(胃・十二指腸)・喘息・肝機能障害・脳疾患(中風)の回復、ガン手術後の転移予防・痴呆症等です。
以上の病気の中には、その時点のいかなる新薬も及ばない薬効が認められました。
また、体内の正常化の点から、有機性ヨウ素が血液に吸収されて「慢性諸病の源」と言われる酸性体質を、アルカリ性体質に改良・改善するため、健康の保持・増進には最適であることが確認されました。
飯島先生は、現在問題になっている活性酸素(フリーラジカル)に対し、この有機性ヨウ素が有効な作用を及ぼすことをはじめて正確に解明されたのです。